これは,具体的に誰がそれをするのかは重要でなかったり,誰にでもあてはまるようなことを言う場合に使う構文のひとつ。誰がするかよりも,そのことをするとかしないとかいう事実に注目させたいときの表現。典型的な例を3つあげる。
(1) Dove si vendono i biglietti?「チケットはどこで売っているんですか」
vendono は vendere「売る」の3人称複数の活用形(直説法現在の形,この項では以下同様)だが,ここでは誰が売っているのかはどうでもよく,売っているという行為に特に注目させるためにこの構文を使っている。biglietti は biglietto「チケット・切符」の複数形。
(2) La pizza si mangia in pizzeria.「ピザはピザ屋で食べるものだ」
mangiaはmangiare「食べる」の3人称単数の活用形で,ここでは誰にでもあてはまる事実であることに注目させるためにこの構文を使っている。
(3) In centro si arriva in due minuti.「町の中心街 (centro) まで2分で行ける」
arriva は arrivare「着く」の3人称単数の活用形で,やはり誰にでもあてはまる事実であることに注目させるためにこの構文を使っている。
ここで活用が3人称の単数形の場合と複数形の場合があるが,文(1)の biglietti のように複数形の動作対象(biglietto「チケット」の複数形)といっしょに言う場合だけは動詞を複数形にし,それ以外は単数形になる。
SI ACCETTANO PRENOTAZIONI [スィアッチェッタノ プレノタッツィオーニ]
「予約受付中」
accettano は accettare「受ける」の3人称複数の活用形で,prenotazioni は prenotazione「予約」の複数形。予約を受けるのはこの店の人であることは明らかなので,ここでは受付をしているという事実に注目させる表現。最後の per rinfreschi e cene di laurea は「大学卒業 (laurea) のときのパーティー (rinfresco) や晩餐会 (cena) の」ということ。
NON SI FANNO FOTOCOPIE [ノンスィファンノ フォトコーピエ]
「コピーはしません」
fanno は fare「する」の3人称複数の活用形で,fotocopie が fotocopia「コピー」の複数形。コピーをするとしたらこの店の人なのだろうが,そんなことよりもここではコピーのサービスはやっていないという事実に注目させる。