やはり Gloriaの一節です。このあと propter magnam gloriam tuam とつづいて,全体で「あなた(神)の大きな栄光ゆえに私たちはあなたに感謝をする」というひとつの文になります。
注意点は Gratias agimus(感謝をする)です。その間で音楽的に切れていなければ音をつなぐのですが,ここでは Gratias の最後が s です。語尾の s を次にある母音で始まる単語につなげる場合は,促音を入れる感じで s を長く言いながらつなぎます。つまり,あたかも Gratiassagimus と s がふたつ書いてあるかのような形でつなげるということです。ですから[グラツィアッサジムス]。見にくいので,上では「ッ」の後で分けました。促音を入れずに[グラツィアサジムス]と言う人もいます。もし途中で音楽的に切れていれば[グラツィアス アジムス]。
促音が入るように言っていることがわかりやすい音源として,先ほどの例1の動画の3分15秒でもよいのですが,もっと明瞭なのが下の動画です。プッチーニのミサ曲ですが,44分5秒から16秒までに Gratias agimus が2回出てきます。[グラツィアッ サジムス]と聞こえると思います。
例4Qui sedes ad dexteram Patris,[クウィ セデッ サッデクステラム パトリス]
ミサの Credo の最初の方にある factorem coeli et terrae の最後の2語も,あたかも etterreと書いてあるようにつなぐので[...エッテルルレ],やはり促音を入れる感じで。
同じく Credo の descendit de coelis のように,語尾が t で,そのあとに d がつづく場合も,音楽の切れ目がないかぎり descendiddecoelis とつないで[デシェンディッデ チェリス]。
それぞれの典型例として,先と同じ人による次の動画で14〜19秒と1分33〜38秒をお聞きください。
ただし,やはり Credo の Et incarnatus est de Spiritu Sancto. の下線部は,そこに音楽としての切れ目があることも多いと思いますが,つなぐ場合でも t の前に s があって,促音を入れにくいので,そのまま[エティンカルナトゥッ セストデ](この[ト]ははっきりした[ト]ではなく,[タ]か[トゥ]との間ぐらいの感じの,あいまいな音色の母音をごく軽く入れる感じで言う)。あるいは t を省略して[セスデ]と言ってしまうことも少ないないようです。